レディーズ・ファースト
レディーズファーストのエチケットは、国際社会で極めて確立されたものだ。しかし、日本男性にとっては、よほど意識しないとこの国際スタンダードに従うことが難しい。
ビジネスの相手とか、知人の夫人等、身内でないものに対しては、注意力もいきわたり、レディーズファーストを行うことができるが、自分の妻や、秘書に対してレディーズファーストを行うことは、よほど意識をしない限り困難だ。
しかも、この身内の者に対してのレディーズファーストの慣習は結構強いもので日本人には分かりにくい。たとえば、参加者がそろって私の入場を待っている会議場に、女性秘書と連れ立って入る場合でも、秘書の方にレディーズファーストをしないと、待っている西欧人は奇異に感じるらしい。
レディーズファーストをしない日本人を、日本の風習にないからと当然であると寛大に見る人も多いが、問題は、野蛮な教養のないものだと見くびってしまう人も多い。このように自分の慣習を押し付ける、程度の低い連中が多いので、こんなことで、ばかにされたのでは割が合わない。こんな連中には、少し大げさにレディーズファーストをして、驚かしてやればよい。
ディナーのとき、同じテーブルの女性がテーブルに着き、全員着席するまで、男性たちは、座席の後ろで待たなければならないが、慣れてない日本人男性は、待つことができない。本当は、女性の後ろへ回って着席をサポートしなければならないのだが。
アジアやアラブ圏では、レディーズ ・ファーストを行う必要は全くなない。そのような国で、日本人がぎこちなくレディーズ・ファーストを行うのは見っともない。
階段を昇るときに、レディーズファーストを行わないのは当然である。
レディーズ・ファーストと西欧人の行動
レディーズ・ファーストは、中世の騎士道で発達したと言われている。発達の経緯はともあれ、私は、元来、男尊女卑の意識が強い西欧の男性が、本来の気持ちとは逆のことを、いくら習慣だとは言えスムーズに行う事実を良く認識する方が重要だと思う。
女性の参政権が最近まで認められず、家庭の財布はすべて夫が握っている西欧社会で、基本的な考え方がレディーズファーストであるはずがない。しかし、彼らは、女性を大事にしているように振る舞い、世の中をうまく収めるのである。このような習慣は、殺伐とした競争社会で生きるために発達した西欧の知恵だろう。
日本人は、心の底で思っていることを隠しておくことは大変困難であり、誰でも容易に顔に出る。しかし、西欧人は、面と向かった相手に対しては、大変社交的でニコニコしているが、影では悪口を言っているケースが多い。顔に出さないのである。また、日本人は、ほんの一瞬でる顔の表情の違いも、習慣が異なるために見落とすことが多い。そして、ニコニコしている相手についつい心を許すが、実は相手はとんでもないことを考えていることが多いのである。
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