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ワークショップ 国際 ビジネス必携(入門編)

 拙著「日経プレミアシリーズ「お辞儀」と「すり足」はなぜ笑われる  
 
からの抜粋です。
        前ITU事務総局長 内海善雄
 

       

 

冗談で聴衆を引き付ける

 成功したスピーチとは、聴衆をひきつけ、聴衆にメッセージを送り届けることができたものである。聴衆が私語を交わしているようなスピーチは、失敗の典型である。

 聴衆をひきつけるためには、最初の一〜二分が勝負である。そのときの聴衆の心理を読み取り、何を、どのような仕草で話せば、聴衆の関心をひきつけることができるか考えなければならない。したがって、スピーチは登壇するときから始まっているのである。

 有名な俳優であれば、手を振りながら登壇できる。しかし、名の知れていない者が同じことをすれば、ひんしゅくを買う。一般の人には、真摯で謙虚な態度が必要である。スピーチの冒頭にちょっとしたジョークを入れることができ、笑わすことができると、聴衆の関心は一気に高まる。

 よいジョークのタネがない場合は、ホストへの謝辞、列席者への呼びかけなど、スピーチ冒頭の決まり文句を話し、ゴルフで素振りをするのと同じように、聴衆と発言者の本番へのウォーミングアップを行うのも、効果がないようで、案外効果がある。それは、聴衆側が、いつもの決まり文句であるので、緊張感なく安心して聞けるからである。

短い文と繰り返しの言葉

 まず、スピーチ原稿は簡潔明瞭でなければならない。接続詞や関係代名詞などで接続された長いセンテンスの書き言葉では、よいスピーチはできない。

 西欧人を含めて、普通の人のスピーチ原稿は、ほとんどが書き言葉で書かれている。これでも、英語のネイティブが使用すれば結構意味が通じるスピーチとなる。しかし、英語の下手な日本人が使用すると、悲惨な結果となる。フレーズの切り方やイントネーションが悪いので、聞いていて意味が全然通じないのである。

 原稿を作った者がネイティブである場合、普段、自分の書いた原稿でネイティブが成功しているから、失敗したのはスピーチした日本人が下手であるのであって、自分の原稿が悪いとは決して思わない。

 英語が母国語でない日本人の場合、英語のスピーチ原稿は、一センテンスは一行以内を原則とすることを目標とすべきである。これは、言うはやすく、実際には大変難しい。しかし、絶対に二行以上にしてはならない。自分で原稿を作らない場合でも、必ず自分で読んでみて、一センテンスが一行以内になるよう自分で変更するべきである。

 さらに、辞書を引かなければわからないような単語は、絶対に使用してはならない。日常あまり使用しない単語をスピーチ原稿のなかに入れると、格調高く聞こえる。これをネイティブがスピーチすれば、名演説となる。しかしこれは、あくまでもネイティブ用であり、我々日本人は、自分が知っている単語のみを使用すべきである。使い慣れない単語を使えば、自信のない声になり、意思が通じない。

 私は、日本人が格調高い名スピーチするのを残念ながら聞いたことがない。日本人には、格調高いスピーチは無理なのだ。意思が通じるスピーチができると、日本人にとってはそれが一〇〇点満点であると考えるべきである。

 さらに、伝えたいメッセージは、何度も繰り返して使用すべきである。文章を書くときに受ける訓練は、同じ言葉を繰り返さない、もし同じ内容のことを、どうしても言わなければならない場合は、同意語を使うべきであるというものである。そのため我々は、あまりにもこのよい「書き方」で頭がコチコチになっている。

 スピーチでは、同じ言葉を繰り返してはじめて意味が通じ、強調される。また、しゃべるほうも調子も出てきて、口が滑らかになってくるものである。

具体性のある内容

 日本人の作るスピーチ原稿は、内容が抽象的である。頭のよい日本人は、具体的な個別事案を述べるよりも、抽象化、一般化して原則論を述べることが好きである。しかし、スピーチでは、抽象化や一般化は禁物である。

 学校の授業でも、先生が脱線したときの話ししか記憶に残らないものである。同様に、聴衆には具体的な個別の事案しか頭に入らない。

 「いつ、誰が、どこで、何をして、何を考えた」かと、まさに5W1Hのある具体的な事柄を言わなければ、聴衆には訴えられない。スピーチは、あくまでも耳から入る情報であり、普通の人間は、このような具体性のあることしか、耳からの情報として受け付けないのである。

 したがって、スピーチのなかには、自分の経験や、皆が共通にわかる具体的な出来事を引用しながら、自分の考えや伝えるべきメッセージを述べるべきである。 

 

はじめに

1 基礎的なプロトコール

挨拶

レディーズ・ファースト

敬称

序列

上位席

座席配置

レセプション

ディナー

テーブル・プラン

ビジネス・レター

レセプションで成功 の秘訣

2 プレゼンテーションの基本

スピーチ

原稿作成の秘訣

アイ・コンタクト

パワーポイントの使い方

 国際会議出席

会議の種類

議事規則の基本

会議用語


会議 成功の秘訣

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