国際 ビジネス必携(入門編)

    元ITU事務総局長 内海善雄
 

 

「日経プレミアシリーズ「お辞儀」と「すり足」はなぜ笑われる」 より  
 
 

国際社会で大損をしている日本人

 平和で豊かな日本で生まれ育った日本人は、まだまだ義理人情に厚く礼儀をわきまえ、謙虚であるがゆえに、国際社会では大損をしています。それは、相手の外国人が、自分と同じ価値判断をし、同じように行動すると誤解して付き合うからです。

子供のころに聞かされる童話からして、西洋と日本とは根本的に異なります。私は、舌切り雀や、花坂爺さんの話を聞たり、その絵本を見て育ちました。正直者のおじいさんには福が来るが、欲張りもののお婆さんには災いが来るというものです。その背景は田んぼのある農村の絵です。しかし、いかにも平和です。正直にまじめに生活していれば、幸福が転がり込んで来るのであるから。決して生への戦いが存在しません。

 西洋では、ジャックと豆の木や、赤頭巾ちゃん、シンデレラ姫などですが、その背景は、森、牧畜、都市と城と、まさにヨーロッパの環境です。天にいた大男の金を奪い、追ってきた大男を殺して裕福になったジャック、森の狼に騙されて食べられた赤頭巾ちゃん、意地悪で嫉妬深い異母姉妹にいじめられるシンデレラ姫です。騙したり、騙されたり、奪い取って殺したり、妬まれ、最後は魔法でハピーエンドと、いずれも索漠とした闘争社会の中で生き抜くためには、力で勝つか、さもなくば、魔法しか解決方法はないのです。

 このような社会で育った西洋人は、根本的に日本人と行動様式が異なります。日本人は、そんな人を相手に、日本人に対するのと同じように付き合うものだから、よいカモにされてしまいます。

 グローバル化する社会で、日本人が国際競争に勝っていくためにはどのようなことに気をつければいいか、長年の国際生活で経験したことの一端をお伝えするために、「日経プレミアシリーズ「お辞儀」と「すり足」はなぜ笑われる にまとめました。本講座は、その抜粋です。

 この講座では、ビジネスマンや役人が国際会議に出席したり、外国人と交渉するにあたって、心得ておくべき事柄を、まとめてみます。

 ほとんどが国際常識であって、真新しいことはありません。しかし、国際社会のなかで、日本のビジネスマンや役人たちが、この国際常識が実行できないために大変不利益を被っている姿を見て きました。

 その原因を考えると、聞けば常識だと思う事柄も、実際は意識されていないことが多いです。意識されていなければ、知らないのと同然です。また、分かっているけれど、ついつい普段の 日本でしか通用しない行動をとると言うこともあるし、気おくれがしてとてもそんな行動は取れないということもあります。 

 実は、私自身が、自分が経験し、このように振舞なければならないと説いた拙著「勝つための国際交渉術」を何度も読み返し、自分自身に言い聞かせないと外国人と対等に振舞えない場合が多いことを認めざるを得 ません。それほど小さいときから習い覚えた慣習や習慣から自由になることは難しいものです。 要は、国際社会ではよほど厚かましくならなければサバイバルできないのに、日本式に行動してしまうのです。

はじめに

1 基礎的なプロトコール

挨拶

レディーズ・ファースト

敬称

序列

上位席

座席配置

レセプション

ディナー

テーブル・プラン

ビジネス・レター

レセプションで成功 の秘訣

2 プレゼンテーションの基本

スピーチ

原稿作成の秘訣

アイ・コンタクト

パワーポイントの使い方

 国際会議出席

会議の種類

議事規則の基本

会議用語


会議 成功の秘訣

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