国際 ビジネス必携(入門編)

    元ITU事務総局長 内海善雄
 

 

「日経プレミアシリーズ「お辞儀」と「すり足」はなぜ笑われる」 より  
 
 

ディナーの心得

 個人が家庭で行うディナーでは、ホステスの采配が大きい。客の出迎え、テーブル・セッティング、料理の準備、会話のリードと、すべての面でホステスが中心となり、ホストはむしろ脇役と考えたほうが良い。日本人が開催するディナーで、ホスト(主人)が、ホステス(妻)に、客の前でいろいろ細かく指図をする姿を見るが、あまり美しいものではない。亭主関白は、家庭で行うディナーでは禁物である。家庭は、女性の城であり、そこへお客が招待されたということである。しかし、ワインの選択、説明などは、ホストが行なう。酒は、男の世界である。 

 一方、レストランなどで行うビジネスに関係したディナーでは、たとえ配偶者同伴の場合でも、ホステスは、脇役である。ここでは、ウエイターに対する指示も、通常、ホストが行い、ホステスは、会話で活躍する以外は、あまりでしゃばらない方が美しい。

 通訳は、あくまでも補助者であり、ディナーの客ではない。したがって、客の後ろに椅子を用意し、ディナーの席には座らせないのが普通である。日本人は、このことに抵抗を感じ、通訳をディナーの席に座らせ、客の一員として扱いがちであり、また、日本人の通訳も、辞退しない者が多く、いつの間にか通訳の仕事を忘れてしまう職業意識の低い者もいる。しかし、これは、正式ではない。したがって、家庭に呼ぶようなインフォーマルなディナーはともかく、正式なフォーマルなディナーでは、通訳には、着席させ食事の用意をしてはならない。

 一般の大型のレセプションでは、参加してすぐに立ち去っても問題ない。しかし、個人主催のディナーに呼ばれた場合、退席するタイミングが難しい場合がある。

 ディナーの終了は、主賓が席を立つのを待つのが原則である。西欧人は、盛り上がると、延々と酒を飲み、何時になっても終わらないことがあって困ることが多い。その時は、翌朝早く予定があると断って席を辞すことが可能である。しかし、日頃から体力を鍛えておき、皆より早く席を立つような情けないことにならないようにしておかないと対等に付き合っているとはいえない。

 自分が主賓の場合は、ころあいを見計らって一番に去る配慮をしなければ、他の者が去ることができなくなる。

 個人が開催するディナーに呼ばれた場合は、翌日、簡単な礼状のカードを出すのが慣例である。その他のレセプションには、礼状を出す必要はない。

 


 

 

はじめに

1 基礎的なプロトコール

挨拶

レディーズ・ファースト

敬称

序列

上位席

座席配置

レセプション

ディナー

テーブル・プラン

ビジネス・レター

レセプションで成功 の秘訣

2 プレゼンテーションの基本

スピーチ

原稿作成の秘訣

アイ・コンタクト

パワーポイントの使い方

 国際会議出席

会議の種類

議事規則の基本

会議用語


会議 成功の秘訣