2011年08月12日
内海 善雄 | 国際電気通信連合(ITU)前事務総局長 | 経歴はこちら>> |
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被害報道にもひと言。本来なら避けることが出来た被害のことだ。
福島原発の被害は、汚染地区の直接被害だけではなく、電力制限、食糧汚染など、国民全体に対して甚大な被害を与えている。さらに、風評被害という非合理なものもある。これだけの被害があるのだから、国民は当然原発を忌み嫌う。
しかし、例えば、巨額の税金を使って構築した放射能汚染予報システム(SPEEDI)の情報さえ流せば、多くの食物汚染や無用な避難は避けられたに違い
ない。汚染予報を発表しなかった政府は大いに責められるべきであるが、マスコミは積極的に取材して汚染情報を報道しただろうか。日本より何日も早く、ドイ
ツやフランスのネットでは気象庁発表の気象データに基づいた汚染予報が掲載された。国内マスコミの努力不足も指摘されて然るべきである。
電力会社や原子力村がまったく信用できないとの報道も多い。確かに彼らの信用はメルトダウンしているが、国民をだましたと批判された「やらせメール」事件などは、事の本質を追究しているだろうか。
原発再開のための説明会は、不安を持っている住民に、納得がいくよう説明し、理解を求める場である。このような会合に参加するのは原発に反対や不安を
持っている者であり、賛成する者が積極的に参加するとは思えない。住民が人民裁判的に決定を下す場ではないし、いわんやメールで賛成か反対かを投票する場
でもない。
賛成の意見を増やすように工作した電力会社が厳しく批判され、保安院や地元知事も関与したと報じられているが、科学的根拠に基づいてまじめに説明する場
を、そもそも大衆討議しようとすること自体が問題である。また、誰でもが自由に意見を発信できるメール参加、そして、司会者が恣意的にメールを選択して発
表するやり方は、統計的価値が皆無のものを、あたかも住民の総意のように錯覚させる。住民の意見を問うならば、住民投票や、母集団のしっかりしたアンケー
ト調査を行うべきである。ところが、説明会の手法ではなく、説明会の存在意義そのものを厳しく問うた報道は残念ながら皆無である。
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