2011年10月17日
内海 善雄 | 国際電気通信連合(ITU)前事務総局長 | 経歴はこちら>> |
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三菱重工やIHIなどの防衛関連企業のコンピュータ・システムへのサイバー・アタックが判明してから、にわかにインターネットの危険性が世の関心を引いた。
そもそもインターネットは、利用者が相乗りして情報を伝達するように構築されている。従って、インターネット上を流れる情報を、他人が見ることは、少し
技術のある者であれば簡単に出来る。ちょうど葉書と同じように、他人に丸見えなのである。手紙の内容を他人に読まれたくない場合は、決してはがきは使わ
ず、封書にし、また書留郵便にするように、インターネットでは、メールを暗号化しなければならない。しかし、日本ではそんなことをする者はほとんどいな
い。知識が不足していることもあろうが、むしろ、いちいち暗号化することによる不便さを厭い、誰とでも簡単にメールのやり取りを行う利便性を選ぶためだろ
う。暗号化しない限りは、公開されているのも同然のメールを平気で使用することは、もともとプライバシーや秘密のない生活に慣れていた日本人の特徴だろう
か。
今回の事件は、ハッカーがウイルスを忍ばせたメールを、友人や社内の仲間を装って送り、メールに常に用心をしている者も安心させて開かせ、ウイルスに感染させてシステム内の情報を盗むという仕組みであった。
もちろんメールにも最大の注意を払わなければならないが、しかし、まず第一に、システムをインターネットにつないでさえなければ、攻撃を受けることもな
いということを再認識すべきである。もちろんネットにつながったシステムで使用したUSBメモリーなど、間接的にインターネットにつながることも避けなけ
ればならない。
ところが、外部と手軽に連絡が取れる便利さのため無用心にシステムをネットにつなげていたり、ネットにつながったPCを共用したりしていることがある。
スパイ活動の対象となるような機密情報を扱っているとすれば、そのようなシステムをネットに接続することは論外である。日本では、経費節減が優先し、防犯
意識不足も加わって、こんなに簡単な初歩的な防衛策が案外取られていないのではないか。スパイ天国だと言われてもしかたがない面がある。
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