2011年09月20日
内海 善雄 | 国際電気通信連合(ITU)前事務総局長 | 経歴はこちら>> |
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野田内閣は、経験の浅い閣僚達の軽率な発言や経産大臣の辞任で、スタートよりノッキングを起こしている。海外メディアもあきれているとのこと。しかし、
この程度のことは、もともと想定内のことではないだろうか。野党やメディアは、軽率な発言などの追及よりも、もっと重要な政策論議に力を入れてもらいたい
し、新政権も口先だけの低姿勢、守り一辺倒ではなく、真に胸襟を開いた野党との対話をしてもらいたいものだ。
さて、極めて好評だった野田内閣の発足だが、物事は多面的であり、報道された事実を少し斜に構えて見るだけで、異なった色も見えてくる。幾つか例を挙げてみよう。
民主党は増税を支持
今回の民主党代表選では5人の候補が乱立し、最初の投票で上位だった海江田氏と野田氏による決選投票が行われた。メディアはもっぱら、どのグループがどの
候補を支持するかということに注目した。そして、「反小沢」を軸として、2、3、4位連合ができ、野田氏が選ばれた。代表選は、「親小沢か反小沢」のフィ
ルターを透すと、明らかに反小沢グループの勝利である。
では、政策ではどうだったか。新聞各紙が「国会議員だけの投票で決める代表選は、国民不在だ。政策論争を行うべきである」と主張し、やっと投票日直前に
なって共同記者会見の場で政策論争が行われた。この席で野田氏は、増税を明確に訴え、他の候補とは明らかに違っていた。ところが、ふたを開けてみると、
30人しかいないグループの野田氏が1回目の投票で102票を獲得した。実に民主党議員の3分の1が、不人気の増税政策を支持したのである。さらに決選投
票では、過半数の議員が増税を訴えた野田氏を支持した。「小沢」ファクターと「増税」ファクターを量りにかけたのかも知れないが、政策だけみれば、民主党
もやっと責任政党として一歩を踏み出したとみることができる。
“どじょう”効果もあってか、野田新内閣は国民に受け入れられる形でスタートした。直面する最大の課題は被災地の復興だが、野田首相が描く復興計画の大まかな枠組みは常識的であり、賛成できる。 復・・・>>続き
野田佳彦内閣が9月2日に発足した。内閣は13日に国会を召集、野田首相は所信表明演説を行った。 首相は、演説で、内閣が取り組むさまざまな政策課題を挙げた。短期的な危機対応として、東日本大震災か・・・>>続き
また、不適切な発言により大臣が辞任した。政策決定のスピード感が乏しい日本の政治であるが、閣僚の席の回転に関してだけは、新任の名刺の印字が乾かないほどの迅速さを発揮している。本当に困ったものだ。 ・・・>>続き