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2011年09月20日

内海 善雄 国際電気通信連合(ITU)前事務総局長 経歴はこちら>>

野田政権 ノッキングは想定内(3/3)


  清新? 弱体?

 次に閣僚人事。党内バランスを取って適材適所、最適な人事配置をしたというが、閣僚名簿を見て、どれだけの人が大臣の人となりを思い起こせただろうか。あまりにも知名度がない若い人を重要ポストに配置し、外国メディアもコメントの仕様がない状況だった。 緊急を要する重要課題を抱えた日本に、フレッシュな、既成概念にとらわれない閣僚が増え、元気のある新しい時代が到来したとも言えるが、未経験で即戦力のない弱体内閣とも言える。案の定、閣僚の発言で、ノッキングを起こした。

 以上、報道された事実だけを見ても、野田内閣は、「党内抗争を避けて、実行力のある新政権だ」と評価することも可能だし、また一方、「党内勢力配置を反 映した、まったく動きの取れない新政権だ」と見ることも可能である。いずれにしても、物事は多面的であり、同じものを前向きに見るのか、後ろ向きに見るの かでまるきり異なってくるものだ。

  一時休戦 課題解決を

 しかし、メディアも、国民も、「やっと行動が出来そうな内閣が出来た」と大いに期待していることは間違いない。誰が総理になろうとも、不毛の権力闘争に翻弄されず、日本が直面している多くの危機的な課題を一刻も早く解決してくれることを切に望んでいるのだ。

 1年程度で総理が交代した過去の経験からも、野党や新聞が、閣僚の失言など、揚げ足をとるようなことを始めれば、新内閣のご祝儀相場は瞬く間に後ろ向き の評価に変わってしまう。しかし、後ろ向きに評価して何のメリットがあるだろうか? 国民は、再び何も実行できない総理を戴くだけである。せっかく高く評 価された野田政権だ。野党や新聞も、このあたりで一時休戦して、国の将来を見据えた建設的な政策論争を行い、緊急に処理しなければならないこの国の多くの 課題を解決することにエネルギーを注ぐことは出来ないものだろうか。政争はその後にした方が、波乱要素を抱えている野田政権だから、より勝ち目があるとも 言えそうだ。

 未曾有の震災に耐え、助け合い、世界中の人たちを感動させた日本人が、復興もままならぬこの時点で、またも「総理降ろし」の大合唱で政権を頓挫させるとすれば、まことに情けない。

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    池内 正人 元日本経済新聞経済部長・テレビ東京副社長 経歴はこちら>>

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    竹中 治堅
    竹中 治堅
    政策研究大学院大学教授

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    渋澤 健
    渋澤 健
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